東京地方裁判所 昭和42年(ヨ)12312号・昭42年(ヨ)12023号 判決
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〔判決理由〕区分所有法においては、その対象となる建物について専有部分と共用部分とを観念上明確に区別し、区分所有されている建物の各部分は必らずそのいずれか一方に属させるという建前をとつている。そして同法第二条第四項によると共用部分とは、(1)専有部分以外の建物の部分として(イ)法律上当然に共用部分となるものと(ロ)規約によつて共用部分となるもの、(2)専有部分に属しない建物の附属物、(3)同法第三条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物の四に分類される。ところで、債務者高通挙示の判例は、本件屋上の所有関係ならびに共用部分として右四の範疇のいずれに属するかを判断するに当りきわめて傾聴に値する見解ではあるが、<証拠>によれば、本件建物および建物設備、管理費用の負担に関する契約第二条、第六条、第八条の合意に基づく公租公課、保険料、使用料、人件費、動力費、燃料費、消耗品費、雑費、管理事務費等の必要経費、共有設備の修理、改造、更新の費用、町内会、防犯、防火関係費その他の支出事務費、および官公庁関係事務費等、共同負担と思慮される諸負担については債権者と松屋との各専有部分中の有効面積比(いわゆる「専有面積比」)に応じて算出分担すべき旨詳細に定められているが、右算出の基礎となつている松屋の専有部分中の有効面積に本件屋上部分が一切加算されていないこと、同第一条第一項において、松屋は債権者に譲渡しない所有部分中の地下二階の機械室、ポンプ室、電気室および地下一階より地上二階までの階段部分等(いわゆる契約書中のA共用部分)についてすら、建物の区分所有の登記方法に従い、松屋所有として登記しない旨合意していること、<証拠>によれば、本件屋上には全区分所有者の共用部分と解すべきクーリングタワー、エレベーター機械室、階段室が設置されていること、以上の各事実につき疎明があり、右に反する採用できる資料はない。而して右認定の事実を綜合すれば、前顕判例の見解を基準としてたやすく本件屋上を松屋の専有ないし専用部分であるとすることは困難である。却つて、一般にビルディングの屋上は、その建物の屋根としてその外観を維持し、若しくは共用施設としての昇降機機械室、冷房用貯水槽(ペントハウス)等を設置するために必要な部分、すなわち「建物の基本的構成部分」と解すべきであり、従つて屋上は、法律上の共用部分と推認される。しかもその共用部分たる性格は、仮にその屋上に接着する上部階層部分および屋上に至る階段、廊下等が特定の区分所有者の専有部分であり、更に右屋上が構造的には屋上床と屋階入口扉とによつて他の部分と区別され、事実上屋上についての独立排他的な支配(管理)が可能な状態であるとしても、区分所有法にいう構造上の独立性はなく、その建物としその効用を欠いている。従つて、建物の屋根(屋上)が構造的共用部分であることを重視するならば、本件屋上は、前顕(1)(イ)の分類、すなわち同法第二条第一項第一段所定の共用部分と解せられるから、本件建物の区分所有者たる債権者と松屋との共有に属するものといわなければならない。(長井澄 小野寺規夫 若林昌俊)